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ハラスメント調査の留意点

2023.03.02 Thu  PHI LAW OFFICE STAFF
従業員の労務に関する問題の中で避けて通れないのが、セクハラやパワハラなどのハラスメントの事案です。
従業員からハラスメントの申告があった場合、使用者はどのように対応すべきでしょうか。
ハラスメントの事実調査で留意すべき点について解説します。


従業員からハラスメントの申告があった場合に、使用者が行うべきこととしては、
①被害者と加害者とされる従業員との切り離し(配置転換) と、 ②速やかな事実調査 です。
配置転換は、事業規模や業務内容によってはなかなか難しいケースもありますが、
その場合は加害者とされた従業員を自宅待機させるなどの方法も検討することが必要です。

その上で、事実調査に着手することになりますが、
どのような点に留意すればよいでしょうか。

まず、被害者から申告内容について聴き取りを行うにあたっては、いわゆる5W1Hを確認する必要があります。
ハラスメント行為の時期や場所が不明確だったり、発言の一部のみを切り取って申告しているような場合は、その後の調査に困難を来す可能性があります。
調査を行う前提として、いつ、だれが、どのような経緯で、どのようなことを言った(した)のかをできる限り明らかにしてもらうことが肝要です。
なお、加害者からの報復を恐れて真実を語ることが難しいという場合には、
秘密保持を徹底し、供述内容を第三者に漏らさないことを約束するなどの対応も必要になります。

次に、被害者、加害者以外の第三者からもヒアリングを行う必要があります。
事案によっては、当事者の言い分が真っ向から対立しており、第三者の見聞した事実が手掛かりとなる場合もあります。

最後に、加害者とされる人物に対して事実調査を行いますが、
その際は、最初から加害者であると決めつけたり、尋問のような形で問い詰めたりすることは避けるべきです。
例えば、人目のない場所でセクハラが行われたと申告されたケースでは、被害者の話が100%真実であるか判断し難い場合もありますし、
事実調査を行う中で、当初の申告内容とは違ったストーリーが浮かび上がってくることもありますので、加害者であるとの決めつけは禁物です。

そして、これらの事実調査の経過と内容は面談記録等の形で必ず文書化しておくことが必要です。
正確な記録を残す観点からは、調査対象者の同意を得た上で録音をとることも検討すべきです。

(弁護士 内田 靖人)

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